平成20年5月10日 有明海意見交換会を開催しました


有明海再生に関するシンポジウムシリーズ◆第1弾◆レポート

「有明海研究意見交換会」    

 昨年開催しましたシンポジウム「有明海における貧酸素水塊の発生と対応」などにおいて、有明海湾奥部、諫早湾における貧酸素水塊の形成・変動についてはかなり解明されているとの研究者の共通認識の共有化が進んできました。
また、赤潮の発生、潮流の変化などの有明海における環境変化の要因についても、これまでの研究により明らかになりつつあり、解明すべき課題と再生方策は環境省マスタープランにおいて取りまとめられているところです。
有明海再生機構の総会で多くの先生方がお集まりいただいたこの機会に、特に有明海で問題になっている貧酸素水塊・赤潮の多発、貝類にテーマを絞り、有明海再生のために今後取り組むべき研究課題の共有化に向けた意見交換会を以下のとおり実施しました。

当日は県内外から約90名の方々にご参加いただきました。

主な発言内容は次のとおりです。

●速水祐一;佐賀大学有明海総合研究プロジェクト准教授「貧酸素に関する研究成果と今後の研究課題」
湾奥西部の浅海域で特に貧酸素水塊が発達する原因は、底質の有機物含量が高く、酸素消費速度が大きいこと。エスチャリー循環による底層で湾奥向きの流れ。エスチャリー循環による懸濁物輸送、底質再懸濁、懸濁物による酸素消費。浅い水深が推測される。今後の研究課題は貧酸素の経年変化に関する原因・機構の解明。貧酸素を緩和するための基本的な施策の立案、将来予測。

●本城凡夫;九州大学名誉教授「赤潮に関する研究成果と今後の研究課題」
2007年に発生したシャトネラ赤潮発生の開始は降雨による塩分の低下と一致する。シャトネラは増殖に鉄を要求する。シスト密度は発生の確率になぜ反映しないのか。アカシオ サングイネア赤潮;博多湾と有明海では共通して塩分の高い晩秋に発生する。有明海ではなぜ細胞密度が高いのか。有明海の初期発生海域は諌早湾口域か。

●日向野純也 水産総合研究センター 養殖研究所 生産システム部 増養殖システム研究グループ長 「 貝類に関する研究成果と今後の研究課題―濾過食性二枚貝の生態系サービスの観点からー」
アサリ、サルボウ、タイラギ、カキなどの濾過食性二枚貝は、プランクトンやデトライタスなどの有機物粒子を取り込み、無機栄養塩を水中に回帰させる。また漁獲されることにより、水中からの負荷の除去として生態系サービスを供与する。有明海の生態系モデルを用いてアサリ資源量を変化させた場合の感度試験を行ったところ、2万トンまでは殆ど変わらなかったのに対し、10〜20万トンでは植物プランクトン量の大きな低下とDIN及び生物堆積の大きな上昇が予測された。

  (会場の様子)

 

 

 

H20.5.10 有明海研究意見講演会講演録